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千成屋珈琲店・・・・・・大阪市浪速区・新世界のじゃんじゃん横丁
今にもじゃりン子チエが飛び出してきそうな新世界はじゃんじゃん横丁の中にあり、開店当初はさぞかしモダンだったのであろうと思わせる、まさに「カフェー」というイメージにぴったりの老舗喫茶店である。今ではこの辺りの主人公であるおっちゃんおばちゃん達の憩いの場となっているが、味は本格的なのに値段は庶民的というありがたい店なのだ。しかもカップなど食器も凝っている。僕のお薦めはミルクセーキとバナナジュース。是非にお試しあれ。市立美術館や動物園、通天閣に等に行った帰りに寄るには最適である。ギャラリーの新世界篇にも紹介している通り周囲は趣深い庶民派の繁華街で、新世界国際劇場、新世界公楽劇場など近代の名建築も多い。
家族庵・・・・・・大阪府池田市・国道171号線(西国街道)天神交叉点を北へ数キロ・信号のある交叉点角
よくありそうな名前で、よくありそうな構えの、一見なんの変哲もない極く普通の蕎麦屋であるが、麺食いの僕が今まで一番うまかったと感動した蕎麦・饂飩の名店である。当然、麺は全て手打ち。それを最高の出汁(だし)で味わうことが出来るのだ。営業は売り切れるまで、午後八時ぐらいには閉まってしまうので、早めに行った方がいい。しかも混んでいる。駐車場があるので、遠方からの客も多いのだろう。
味に関して、とやかくいうことは何もない。学生の頃この店に来て、美味い麺とはこういうものかと初めて判るようになった。ここに通うと、自分の味覚まで鋭敏になってくる。食べ続けると、たまたま大将の体調が悪いとすぐに判るようになるから、騙されたと思ってしばらく通ってみられればいい。
何を食べてもうまいが、僕は蕎麦よりも饂飩党で、一番のお薦めは釜揚げ天付である。てんぷらもまた格別の味であることは言うまでもない。
古都・・・・・・大阪市生野区鶴橋四丁目(大阪市立北鶴橋小学校正門前を東へ1ブロック)
広大な下町が広がる大阪市南部エリアでも特にこの生野区は日本有数のコリアタウンであり、一種独特の雰囲気が醸し出されている。散策していて飽きることがない。この店は歩き疲れて空腹のあまりふらりと入ったお好み焼屋だが、さすが食い倒れの街大阪のお好み焼屋だけあって、「じゃりン子チエ」に出てくるお好み焼屋「堅気屋」を思わせる正統派、まさに王道をゆくお好み焼店であった。コリアタウンだけに生野のお好み焼屋はチジミ等コリアン系メニューのあるところが多いのだが、ここは純粋和風メニュー一筋での勝負である。また都心のチェーン店等によくあるような奇を衒った邪道メニューも一つもない。気さくなおばちゃんが焼いてくれるお好み焼は信じられないような大きさで、豚玉450円、モダン焼600円、やきそば(豚)450円など、涙が出そうなぐらい安い。そして美味しい。小さい頃からこういう店の味で育つこの辺りの子供は、ファミレスやファーストフードの毒食に味覚を侵されることもないであろう。
電話:06-6717-1996
土佐屋・・・・・・大阪市生野区旧猪飼野地区の某所
何度となくミニオフ会の会場としても使った、僕が学生時分よりよく行っている焼肉屋である。日本一のコリアタウンである猪飼野には、当然に在日コリアンが同朋相手に商っている美味しい店が数多あるのだが、その中でも味、雰囲気共に最高で、しかも値段は破格に安い、まず他では見れらない名店であろう。
とにかく大阪市は、日本で最も在日コリアンの多い街である。その中でも生野区は人口の四分の一以上が在日コリアンであり、特にこの猪飼野地区はコリアンストリート御幸通商店街を中心に日本人より在日コリアンの方が多いという、本格的なコリアタウンである。上っ面をなぞるのみの昨今の底の浅い官製の国際化等とは歴史が違い、プラスマイナス両面がある日韓関係の歴史を丸々背負い真の意味で我が国で最も国際化の進んだ街であろうこの猪飼野の名は、しかし地図上からは抹殺されている。この歴史を“恥”だと勘違いしている愚昧な大阪市当局により、無茶苦茶な町名変更を押しつけられたからである。こんな街がオリンピックを誘致して何が国際化なのか、笑止千万としか言いようがない。まさに茶番であり、関西人として実に恥ずかしい。思い返せば旧市庁舎を破壊して中之島の景観を台無しにし、文化庁の反対を押し切り旧陸軍砲兵工廠(僕の大叔父に当る谷端陸軍主計中将が廠長を務めていた)本館庁舎を破壊し、梅田地下街の壁新聞を排除し売店を弾圧したのも、全てはこの大阪市役所なのである。
閑話休題。生野区でまず焼肉の街として知られているのは、何といっても鶴橋駅周辺であろう。現に駅のホームにまで焼肉の匂いが漂い、狭い路地の両側に有名店が幾つも軒を連ねているその様は、焼肉のメッカというに相応しい。また高架下に延々と連なる通称“国際マーケット”には何軒もの韓国物産店やチマチョゴリを商う店などが並び、鶴橋こそがコリアタウンの中のコリアタウンであるかの如き様相を呈している。
しかし実は、「鶴橋で喜んでいるうちは素人」なのだ。本当のコリアタウンは猪飼野である以上、一番美味しい焼肉屋もまた、猪飼野地区にあるのである。
土佐屋の焼肉は、初めて行くととにかくその圧倒的な迫力に押しまくられる。もうもうと煙が上がるカンテキ(関東の方言では七輪という)での炭火焼というスタイルは勿論のこと、一人前注文すると本当に大の大人がお腹一杯になるだけの量が出てくることに驚かされ、たれの味に舌鼓を打ち、巨大な骨付カルビと格闘し、お替り自由のキムチ、チシャ、ナムルにかぶりつき・・・・・・。通常の三倍は食べたと思われる後、ユッケピビンバ、カルビクッパ、韓国冷麺で〆て、せいぜい五千円以下、アルコールを飲まなければ三千円以下で納まるのだから、信じられないという他ない。お茶は本場の玉蜀黍茶で、運がよければ自家製濁酒にもありつける。こんな店が他にあり得ようか?! 一度行けば必ずリピーターになること請け合いである。
暖簾分けだろうか、付近には同名の焼肉屋が何軒かあるので注意が必要である。この店の場所は、橋の近くである。詳細は・・・・・・。かの食通、開高健先生も場所を伏せて本に書かれたというとって置きの“秘密の花園”であるので、特に秘させて頂くことにしよう。本当に行きたいのであれば、以上の内容から探すことは十分に可能であるからである。
祭太鼓・・・・・・大阪市北区梅田・大阪駅前第三ビル地下二階
僕が最近しょっちゅう行っている、“元祖変わりカツ丼専門店”。とにかく安くて美味しい。一見普通のファーストフードチェーン店のような作りで、実際何店かチェーンもあるのだが、メニューが豊富で凝っており、なかなかに楽しめる店である。全てのメニューは、丼飯(台)と具が別々に出される。そのままおかずと御飯のように食べてもいいし、載せて丼にしてもいい訳である。
メニューは“本格”、“大根おろし”、“白菜キムチ”、“トマト”、“和風カレー”、“味噌”と、大きく五つのジャンルに分かれている。勿論全てカツ丼である。本格はカツ丼、ソースカツ丼、チーズカツ丼、大根おろしは四種類、白菜キムチも四種類といったラインナップで、僕はマヨキムチカツ丼にはまっている。大きさもかつ一枚のシングル、かつ二枚のダブル、御飯大盛り、御飯特大、御飯お代わりと実に木目細かに対応してくれる。一番スタンダードな「カツ丼シングル」で500円という安さも特筆ものだろう。カツ丼以外では、五種類の玉子丼もある。
この店以外にも、最近の大阪駅前第一〜第四ビルの地下は、安くて美味しい穴場的な店が多い。順次紹介していこうと思う。
電話:06-6348-1125
はがくれ・・・・・・大阪市北区梅田・大阪駅前第三ビル地下二階
大阪は讃岐と並ぶ饂飩(うどん)の本場として知られているが、最近は東京資本のいい加減な店も少なくない。大阪で“たぬきうどん”等というメニューを見てげんなりさせられる日が来ようとは、ほんの数年前までは考えられなかったことである(大阪で“豚まん”のことを下品極まりなく“肉まん”と呼ぶこともほんの数年前まではあり得べからざることであった)。もちろんそんないい加減な店ばかりではなく正統派の老舗も健在であるし、この「はがくれ」は新興勢力ながらもはやキタエリアでは押しも押されぬトップクラスの名店として確固たる地位を築いている。東京と違って大阪では“行列のできる店”で不味いことはそう滅多にないが、この店は昼は二時まで、夜は五時から八時までの営業時間中、ほぼ一貫して行列のできる超人気店なのである。メニューに蕎麦はなく饂飩一本、きつね、てんぷら、ハイカラなど関西饂飩の基本的なメニューはほぼ揃っているが、やはり看板メニューの生しょうゆうどんが一番のお勧め。茹で上げてすぐに氷水で締めた饂飩を碗に盛り、大根おろし、刻み葱、を乗せ、酢橘を搾り、あとは生醤油をかけるだけというシンプルなものだが、誤魔化しが利かないだけに麺の味が一番よく判る。つるつるしこしこの麺の味、一度食べたら病み付きで伯爵ももう三年余り通っているのだ。一玉でも二玉でも値段が同じというのも嬉しい(生しょうゆうどんは600円)。冷たい饂飩は年中あるが、寒い季節にはカマタマ饂飩もお勧めである。
日祝定休
Salon de Amanto(天人)・・・大阪市北区中崎西1-7-26
中崎町界隈は梅田から徒歩圏内にありながら、大正〜昭和初期の長屋が数多残り、路地が連なる情緒満点の下町で、伯爵の大好きな町の一つ、昔からしょっちゅう歩き回っている。特に近年は町家、長屋を再生したユニークな店が増えつつあり、目を離せない一帯となっている。伯爵的には大阪で今一番お洒落とされている南船場、北堀江辺りより、何ぼか歩いていて楽しい、飽きないところなのだ。この店はその中でももっとも“濃い”存在であろう。戦前に建てられた古い二階建ての長屋、長らく放置されていたところを2001年7月に再生され、カフェとして、サロンとして生まれ変わったのだ。今や我々「横漏れ対策委員会」の拠点としても使わせてもらっている。いつも常連客が和気藹々とやっていて、一見客にはちょっと入りづらい雰囲気だが、一旦馴染んでしまえば実に落ち着ける。メニューは鶏ナンプラー丼、おにぎりセット、ハヤシライスなどのフード類は500円、ソフトドリンクは200円からという格安、どれも美味しい。判りにくい路地裏にあるが、探していく価値は大であろう。